君の背中に欲情

5/6
前へ
/260ページ
次へ
撫で回している手が何を思ったのか、服を捲り上げ、そして素肌を這う気持ち悪い手、と荒げられる息。 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり はあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあ 「――って、気持ち悪い!!」 「へぶぅ!!」 本気で耐え切れるか!! 思いっ切りエルボーを(振り向いてないから多分)顔面に減り込ませ、痴漢撃退に成功。 服を直しつつ、チラッと見遣れば、悦り高揚して上気した血走る目とかちあい、沸き立つのは絶望と嫌悪感。 冷めた視線を痴漢に向ければ、即効に回復した痴漢は俺の腰に抱き着いてくる。 「っ……お前、ふざけるなよ!! 触るなっ」 「あぁっ、この匂いっ、この滑らかな肌っ、この見下した視線っ、この耳に心地好い罵声っ!! 樹くん樹くん樹くん樹くん樹くん樹くん樹くん樹くん樹く「黙れ死ね息をするな」嗚呼、大好きぃぃい!!」 また背中に手を這わせてきた痴漢の顎に、アッパーを叩き込んでやった。 これが、ガゼルパンチだぜ。 「はっ……くそっ、何でこの変態は、当然のようにこの学校の制服を着てるんだ……落ち着け俺」 「混乱してる樹くん可愛いなぁ。舐めたい」 「リボーンするな変態め。息したら殺す、目を開けたら殺す、心臓を動かしたら殺す」 「むしろ殺されたい……!!」 気持ち悪いを通り越した、地球外生命体は、俺フィルターには映らない。 無視をする前に思いっ切り鳩尾を踏み付けておこう。 「あぁぁっ!!」 「春は変態が多くなるようだ。この学校のセキュリティ強化を求めたいな」 「はあはあ……樹くんを探して学校を渡り歩いてよかった……会いたかったよ、樹くん。君の下の穴を舐めたいよ」 「黙れよ。硫酸飲ませるぞ」 「残虐な樹くんも愛してる!!」 誰かこの変態の存在を世界から消してくれないか。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9715人が本棚に入れています
本棚に追加