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勝ち誇ったように父親は言い、いまだに詞子を舐めるように見つめている。
父親の腹立たしい視線に久遠の我慢はもう出来ない。
「確かにある意味でここは安全だが、ここはそんなに安心出来る場所ではない。『御影組』を知っているな?」
「確か……関東一帯を支配する組だと聞くが。ほぉ、ここが?」
部屋を見渡す不思議そうな表情がどことなく詞子と似ており、余計に腹立たしい。
「あぁ、そうだ。ここはその『御影組』の本家だ。それから一つ言わせてもらおうか。」
この先が久遠にとって一番重要なことである。
「先程までは癪に触るため言うのを我慢していた。しかし、もう耐えられない。詞子を見るな。いくら詞子の父親でもその卑猥な視線は許せない。」
そう、溺愛していると母親が断
・・・・・
言したため、詞子を父親として見るのは当然だろう。
しかし。
・・・
そう、しかしなのだ。
・
どうも詞子を見ている視線に怪
・・・・
しげな色が孕まれている気がする。
先程から久遠はそれが非常に気に食わず、腹立たしいのだ。
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