婚約

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急に引っ張られ、詞子は若の胸に飛び込む形になってしまった。 「あ、あのっ!!」 「詞子、怪我は?」 何故名前を知っているの? 「若っ!!お怪我は?」 「ない。おい、コイツを連れていけ。どこの組の者か調べておけ。」 「「「はいっ!!」」」 その場にいた全員が返事し、詞子は何故か姫抱きにされてどこかへ連れて行かれそうになる。 「え?あ、あの……お、降ろして下さい……」 慌ててそう言うが、若はニッコリと微笑む。 「詞子、言う事聞かないとなにするかわからないが?」 固まる。 笑顔なのに目が笑っていない。 「は、はい……申し訳ありません。」 ただ項垂れ、詞子は若の気紛れな動作が早く終わることを切実に願う。 詞子の様子を見ながら若は顔を悔しそうに歪める。 若が襖を器用に開けると中には厳つい顔をした男たちがおり、詞子は何故か男たちに睨まれるため、訳がわからず若を仰のくしかない。 「……私、なにか致しましたか?」 失敗した記憶はないが睨まれるくらいだ、なにかしたかもしれないと詞子は思った。
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