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若は質問した詞子になにも言わずに微笑み、何故か詞子の唇にキスをした。
若の突然のキスに驚きで固まる詞子の耳に男たちの慌てる声が聞こえた。
「…………え?」
若の唇が離れると詞子は放心状態になり、疑問符は数秒遅れてしまう。
「彼女が俺の婚約者です。我々『御影組』は藤原 詞子に誓いを立てます。氷室(ヒムロ)、後は任せる。」
「御意。」
詞子の放心状態は継続していたが、若は気にせずそのまま部屋から出て行く。
「詞子、巻き込んでごめん。」
「え?あ、いえ……」
なんと言っていいのかわからず、詞子はそう言う。
「あの……私が「婚約者」ってどういうことですか?」
「あぁ、後でちゃんと話す。待ってくれないか?」
遠くから
「若、こちらです。」
と呼び掛けられ、その部屋へと足を進める。
その部屋の中心にいたのは御影組組長だった。
「来たか……で、本気か?堅気の女を俺たち極道が愛するのはとても難しい。弱点として彼女の命を狙われるかもしれない。いいのか?」
「守ります。俺は分家の方の前で詞子に誓いを立てました。詞子でなければ駄目です。」
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