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あからさまに緊張していた俺はとりあえず鼓動を落ち着かせるように深呼吸をした。
ある程度落ち着いたときに突然、隣の人にツンツンとシャーペンでつつかれた。
「うわぁ!」
思わず驚きの声を挙げてしまう。
俺は恐る恐る突っついてきた方を見る。
するとそこには下を向きながら口とお腹を押さえている黒髪の女子がいた。
一見、吐き気をもよおしているのかと思えるが、そうではなかった。
「クス…フフフ…」
笑っていた…。
俺はとりあえず尋ねることにした。
「あ、あのぉ…何か?」
するとその女子生徒が顔を上げて再び笑ってきた。
「アハハハ!君、面白いね!」
そこには…整った顔立ちをして…長い黒髪が煌めき…爽やかに笑っている美少女が座っていた。
どことなく、紗耶香に似ている…。
俺の頬は赤く染まった。
せっかくおさまった鼓動が再び激しく動きだす。
俺はその顔をただ茫然と見つめていた。
「ん?どうしたの見つめちゃって…もしかして、あたしに惚れちゃった?」
こういった切り返しも…似ている…。
俺はさらに顔を紅く染め、首を横に振った。
「い、いや…そんなことは…!」
するとその女子生徒はため息をついた。
「な~んだ…残念…」
あからさまにからかっている。
俺は彼女の表情からそう悟った。
彼女はさらに続けた。
「まぁ転校して数分で『惚れました』とか言われても困るけどね…」
ほうら…やはりからかっていたんだ…。
転校したばかりのピュアなハートをおちょくっていたんだ。
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