豚遊記（仮）

１

は？

家はそれなりに大きいみたいだけど屋敷という程じゃない。

割と裕福な人だったのね。

そんな事を思いながら今出て来た家を振り返って見上げてると通行人の人々が私を見て悲鳴を上げる。

「豚よ！豚の化物よ！」

「うわぁぁぁ～」

「え？え？」

人々が余りに逃げ惑うので一瞬私じゃない誰かだと思って一緒に逃げ回っていた私。

それを追っかけてきたと思った村人が更にパニックを起す。

私がその事態に気付いた時には既に手遅れで町に人の姿は見えなくなっていた。

町の中心にある噴水のヘリに座る。

水面に映る私の姿はきっちり人間なのに。