77人が本棚に入れています
本棚に追加
「その時に倒れてしまったのですね」エルマが確認する。
「目眩の原因はなんだったのかしら」ここでエステルも会話に加わってきた。
「このような事はよくあるのですか?」
「いいえ。倒れてしまったのは今日が初めてです」
「周りには誰かいなかったの?」
「誰も居なかったハズです」
アーサーの返事の後、司祭が改めて質問してくる。
「そうですか。何か今、違和感のようなものを感じていませんか?」
灰褐色の瞳は、まるで何かを探るよう。
「いえ。特には何も」
「そうですか」
しばらく俯いて考え事をしていたようだが、何か結論でも出たのか、やがて穏やかな表情に戻りアーサーを見やる。
「それでは剣の鍛錬で疲れていたのかもしれませんね。折角だから、ここでしっかり休んでいくとよいでしょう」
アーサーがなんと答えようか悩んでいる間に、エルマはエステルに指示を出す。
「では後の事はエステルに任せます」
「わかりました」というエステルの返事を確認すると、司祭は部屋から出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!