第 III 章

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グイグイと力で押し込んでくる黒鎧に、渾身の力で押し返すアーサー。 絶妙のタイミングでまたもや剣を引く男に、アーサーの体が前方へ倒れこむ。 いや、実際にはバランスを失ったフリをして前かがみになっただけ! アーサーによって作られた隙に黒鎧が剣を上段に振り上げる。 懐が空いた、これを狙っていたのか! 形見の長剣を胸元に引き寄せ、自身の体ごと肩から相手にぶち当たる。 (よくやった!) しかし体勢を崩す事なく、難なく受け止める黒鎧。 「残念だったな」 串刺しにするべく、剣を逆手に持ち替える男。 周りの皆が、息を呑む。しかし (フォース!) 俺がイメージ出来るただ一つの攻撃魔法。 その時イメージしていたのは、密着した体勢から繰り出す零距離攻撃、寸勁。 寸勁で発生する衝撃を、そのままフォースのそれに置き換える。 通常は拳から打ち出される攻撃だが、そんなの魔法なんだから体の一部が触れていれば問題ない(と思い込む) そしてアーサーの肩は、黒鎧の胸に接触している。 肩から零距離で放たれた衝撃破、しかも俺の力で何倍にもなった魔法が微塵のロスなく相手に叩き込まれた。 「がはっ!」
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