第 I 章

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「水でも持ってこようか?」 部屋から退出するエルマをボーっと見送っていたアーサーに、エステルが声を掛けてきた。 「ありがとう。じゃぁ、その水を飲んだら、帰ることにするよ」 「そんなに急ぐ必要ないのに」 と言いながら一旦部屋を出て行った後、水の入ったコップを持って戻ってくる。 「しっかり休むようにって司祭様もおっしゃっていたし、もう暫くここに居ても大丈夫だよ」 「でも...」 「ね? もう少し休んでいきなよ」 「・・・」 困惑したアーサーの気持ちが、俺に伝わってくる。 こいつ、もしかして気付いてへんのか? 何か話したい事があるように思えるんやけど。 アーサーがコップの水を飲み干すと、エステルは意を決した様子で話かけてきた。 「ねぇアーサーさん。剣の稽古をしていたという事は、貴方はギルドに所属しているの?」 ん?、ギルド? 冒険者ギルドとかそういうのかな。 やっぱこの世界には、そういうのが存在してるんやな。 ありがちな設定が本当に存在していて、何かちょっと嬉しい気分。
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