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「水でも持ってこようか?」
部屋から退出するエルマをボーっと見送っていたアーサーに、エステルが声を掛けてきた。
「ありがとう。じゃぁ、その水を飲んだら、帰ることにするよ」
「そんなに急ぐ必要ないのに」
と言いながら一旦部屋を出て行った後、水の入ったコップを持って戻ってくる。
「しっかり休むようにって司祭様もおっしゃっていたし、もう暫くここに居ても大丈夫だよ」
「でも...」
「ね? もう少し休んでいきなよ」
「・・・」
困惑したアーサーの気持ちが、俺に伝わってくる。
こいつ、もしかして気付いてへんのか?
何か話したい事があるように思えるんやけど。
アーサーがコップの水を飲み干すと、エステルは意を決した様子で話かけてきた。
「ねぇアーサーさん。剣の稽古をしていたという事は、貴方はギルドに所属しているの?」
ん?、ギルド? 冒険者ギルドとかそういうのかな。
やっぱこの世界には、そういうのが存在してるんやな。
ありがちな設定が本当に存在していて、何かちょっと嬉しい気分。
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