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王都へ向かう街道の途中、馬に乗って進む4名の人物。
端からアーサー、エステル、メルヴィナ、ダリウスだ。
まだアーサーとエステルは恐々といった感じで、客観的に見ると少し動作が拙(つたな)い。
その二人に合わせるように、のんびりとした速度で馬を歩かせているダリウス達。
何故彼らが、そろって街道を進んでいるのかというと、説明するには数日前に遡る必要がある。
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事件が解決して一週間が過ぎた頃。
アーサーは相変わらず独学で剣の稽古に励んでおり、毎朝、村の北方面に広がる森林地帯の入り口付近へと足を運んでいる。
稽古の帰りにはギルドに寄って、ダリウス、メルヴィナ達と雑談をするのが日課になっていた。
この二人が、何故まだこの村に居るのかといえば、無力化しているとはいえ、村の治安組織には捕まえた件(くだん)の二人を抑えておける程の人物が居らず、万が一の時の為に、護送部隊が到着するまでは滞在し続けてもらっているのだ。
ダリウス達からは、例の力の事を根掘り葉掘りきかれたが、知らぬ存ぜぬで通している。
そうは云っても、そんな事で納得する二人ではなかったから、こういう風に伝えている。
「エルペト様の力をお借りする方法をエルマ司祭に教えていただいた。
俺達の力を合わせて初めて引き出せる。だから、俺達が初心者にも係わらず神殿からの任務を受けれたんだ。
信じる信じないはそちらに任せる」
ま、嘘ではない。
僅かとは云え真実が含まれている為、腑に落ちないながらも受け入れるしか無かったハズだ。
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