終章

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一方で、アーサーとエステルはといえば、あれから逢っていない。 別に逢うのに理由など要らないと思うが、アーサーは会いに行こうとはしなかった。 やっぱりヘタレなのかもしれん。 いや、悩んでいる事は悩んでいたようだ。 何にかというと「冒険者を続けるため王都へ行こうか」どうかという事。 母親のナタリーには冒険者を続ける意志は伝えているが、王都に行くか悩んでいる事までは伝えれていない。 それに、本人は決して口にしないがエステルと離れたく無い想いがあるのだと思う。 一緒に行動したのは僅かの時間とは云え、二人で体験した出来事は時間など関係なく深い。 にも係わらす「二人で一緒に・・・」とは言い出せていない。 で、本日もまた剣の稽古を終えた後、ギルドの酒場スペースでダリウスたちとダベッていた時だった。 入り口のドアが勢いよく開かれ、一人の少女が飛び込んでくる。 それは一週間ぶりに見るエステルだった。 くすんだ金髪の前髪を揺らし、小走りで少し興奮気味にアーサーに近づいてくる。 「アーサー、ここに居たのね。貴方の家に行ったのだけど、お母様にここかもしれないって教えていただいて」 「ちょ、ちょっと、落ち着いて」 アーサーが、興奮気味のエステルを不思議に思いながらも返事を返す。
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