終章

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「テンプル・ガードって、その貢献度が神殿によって認められたごく僅かの人に与えられる称号でしょ! 神殿の全権委任にも匹敵する権限を持つ事になるから、ここ十数年は授与者が現れなかったはず・・・」 メルヴィナの呟きを聞いて、今度はアーサーが萎縮する。 「俺には、その称号は荷が重すぎます・・・」 「この称号は貴方個人に送られるものではありません。貴方達二人に送られるのです」 「え?」 今度はエステルが驚いていた。 「貴方達の元にある力は、それほどのものである事を忘れてはなりません」 その指摘にアーサーもエステルも表情が強張った。 そんな二人にしか聞こえない小さな声でエルマ司祭がささやく。 『それに、貴方達のお友達の願いを叶える為には、必要な事なのです』 (・・・) マジか。俺が元の世界へ戻る為に必要な事なんか。 「まだ必要な文書が作成できていませんので、正式なご連絡は明日になります。 改めて明日、また神殿にお越しください。これから先、大変ですが、頑張りなさい」 かなり無茶な事を、さらりと言ってのける司祭だった。 後から冷静になって考えてみると、初心者二人に強大すぎる権限を与えたって事なんだよな。 実のところ、二人そろっていて効力を発揮する称号となっている所がミソではあったんだけど、この時は気付かなかった。
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