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「えぇ、まぁ・・・そうです」
その返事を聞いて、一瞬エステルの目が輝いた。
「なら、この村の方達の依頼を受けてくださいませんか?」
依頼という言葉にアーサーの心が引いていくのがわかる。
なんでコイツ、やる気が感じられないんだ?
なにかあるんかな?、と思っていると『ギルドに所属してるとはいっても、3日前に入ったばかりの初心者なんだよ!!』
アーサーの心の叫びが聞こえてきた。
なるほど、初心者の自分に過度の期待をされても困るっていう心境か。
「依頼ってどんな内容でしょうか?」
恐る恐るといった感じで、アーサーが尋ねる。
「この一週間くらいで、村から王都までの街道に妖魔が出没するようになったんです。
村からギルドに妖魔退治を依頼しているそうなんですが、王都から遠い事や低ランクの仕事で優先度が低い事も重なって、この村の依頼を受けてくださる方が、なかなか見つからないそうなんです」
「この村には、他にギルドメンバーは居ないんですか?」
「居るというか、居ないというか・・・」なんか歯切れが悪い。
「どういう事でしょう?」
「実はこの村に居るギルドに係わっていた方の殆どが、現役を引退されたお年寄りばかりなんです。
なので、王都のギルドで仕事を受けてくださる方を待っている状況なんです。
ただ村の人達が大怪我を負ったり、商隊の積荷が破壊されたりと、だんだん被害が深刻になっていて・・・
困り果てた村長が神殿に相談に来られたのです」
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