序章

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感覚的に俺の前方の空間で、小さく輝く光の玉が生まれる。 その小さな玉の輝く範囲が急速に2メートル四方まで膨らむと、その中から中性的な声が語りかけてきた。 「ようこそフォルトゥーナへ、異世界から召喚されし者よ」 (異世界から召喚って、アンタが俺を呼んだのか?) 不思議な事なんだが、俺は焦ることなく落ち着ついていた。 なんでかって?、異世界ものでよくあるパターンやん。 以前、読んだ小説のネタそっくり。 だからこれは俺が見てる夢だろうって・・・ 「いいえ。貴方はこちらの世界で行われた召喚儀式で召喚されたのです。 ただ、召喚で唱えられたルーンに異常な力が加えられた為、召喚魔法が暴走しました。 その為、本来召喚されるべき対象ではなく、偶然に繋がった異世界から、貴方が引き寄せられたのです」 男なのか女なのか、よくわからない声が応える。 (その召喚魔法が暴走しなければ、俺は呼ばれなかったって事?) 「そうです」 物語の主人公なんかだと特殊な能力を持ってるからとか、特殊な血統だったからとか、色々と隠された裏設定があるやん! そやのに偶然って・・・ (どうやったら、元の世界に戻れる?) 「私を召喚して、元の世界へ戻れるように願いなさい」 (じゃ、今、戻してくれ) 「それは出来ません。何故なら今の貴方は、暴走した召喚魔法に支配されており、私の力が及ばないからです」 (どうしたら、アンタの力が及ぶようになる?) 「貴方が、こちらの世界に顕現した後、貴方自身の力で私を召喚すればいいのです」
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