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いつも通り平和な魔王邸に激震が走った。
「さっちゃんがいなーい!!」
さっちゃん―サリチェは、まだ子供である。あまり遠くには行かせないようにしているのだが。
「どど、どうしましょうフォレンさん!」
「とりあえず落ち着こうか。」
明らかに焦りを顕にするルネに対して至って冷静に装うフォレンも、実際はかなり手が震えている。
「この間『帰らずの森』が妙に気になってたから、あそこに行っちゃったんじゃ……」
「!?あそこは食人花がうようよいるんだよ!?」
二人があわあわし始めた瞬間、きゃーっと森から悲鳴が聞こえた。
「うそ……ってフォレンさん速!」
「サリチェー!!!」
「ま、まってフォレンさん!」
「あらお二人様お待ちになって……ってもういなくなってしまいましたか。」
駆け出す二人の背後にメイドが声をかけたが、全く聞こえていなかったようだ。
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