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「…………で、結局サリチェは部屋にいたと。」
「さっちゃん、めいどさんとかくれんぼしてたよ?」
数十分森の中で食人花と格闘したのにサリチェは部屋にいたようだ。悲鳴の持ち主は実は……
「お母さん……」
「お、お母さん!?」
「ルネが心配になったもので……」
青い瞳。水色の髪は短髪でかなりくせっ毛。彼女は正真正銘のルネの母、ミルカローズである。
いきなりの母登場に戸惑いを隠せない二人。
「いつも手紙だしてるじゃない!」
「手紙なら何とでも書けるでしょ。フォレンさんに迷惑かけてないか心配だったの。」
「いや、全然迷惑かけてないですよ?」
「ほら、フォレンさんは優しいから。実際はかなり迷惑かけてるんじゃないの?」
いや、今の貴方が一番迷惑なんだけど……という言葉を何とか飲み込んで、フォレンは話をなんとかそらす。
「それにしても、ここまで来るのは大変でしたでしょう……先に言って下されば迎えを出しましたのに。」
「いいのよ、勝手に来たのだから。でも、さっき山越えるまで神鳥様に乗せていってもらったんだけど……振り落とされちゃった。」
「また?お母さん神鳥様の扱い悪いんじゃない?」
神鳥様は勇者一族のみ扱える巨大な鳥だが、ミルカローズは嫌われているのか、毎回振り落とされるらしい。そして今回は、運悪く帰らずの森に落ちてしまったという訳だ。
「そんなに無茶してまで来なくて良いから!」
「それにしてもフォレンさん、なかなか良い男ね。」
「はぁ……ありがとうございます。」
「人の話聞いてる!?」
とことんマイペースなルネ母、ミルカローズ。ついにはこんな爆弾発言を。
「で、二人はいつ結婚するの?」
「「ぶっ!?」」
勢いあまって飲んでたお茶を吹き出した二人。まさにシンクロ芸である。
「お、お母さん!もう早く帰ってよ……!」
「あら冷たい。まだ来てから1時間しかたってないわよ?」
1時間でこのキャラの濃さ……恐るべし、ミルカローズ。
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