少年にとっての光

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バタッ…片手剣使いの男が地面に倒れた…。 この世界の生命線のHP〈ヒットポイント〉がその男から消滅した。途端にその男の周りから黒い炎が噴き出し、男を包んだかと思うと、もうそこに男の姿は消えていた…。あの黒い炎はこの世界で死の意味を持つ。 ?「次は…どいつだ?」低く威圧的に言い放つ。先の男の命を刈り取った男…、と言うより少年は抜刀している両手剣を肩に担いだ。しかしその少年が担いでいる両手剣、扱っている少年より大きい。全長2㍍、幅20㌢の両刃剣だった。 *「く…くそぉぉぉぉぉぉ!」重そうな鎧を装備している、重装備の槍使い〈ランサー〉が叫び声と共に槍撃中級スキル〈チャージ・クラッシュ〉を放つ。だが少年は避ける素振りを見せずに、ただ右に一歩動いただけだ。 そのまま両手剣を左下に構え、二人の距離が零になる時…。 ズバンッと重い音がした。ランサーの突撃で二人は背を向け合う形になっり、少しの静寂のあと、突然ランサーのHPゲージが右から左にグイッと動いた。それは止まらず、どんどん左に減っていき…。 パリィィィィン…とガラスが砕けるような音を立て、ランサーのHPゲージが消滅した。 ボゥッ!と音がし、黒い炎がランサーを包み消した…。 少年はそれを見ること無く、ガシャッと両手剣を肩に担ぐ。 *「噂以上の強さだ…まるでボスモンスター並だぞ…!」少年に向かい合っている数十人の一人が叫ぶ。 *「こいつが噂の…〈紫水晶〉なのか……」 *「嘘だろ…、この人数…しかも中々のLvの奴ばかりなのになんで掠りもしねぇ…!」 *「おい、ここは一旦ずらかろうぜ!わざわざやられる通りはねぇ!」一人の男が少年に背を向け全力で走った。それを見た残りの男達も次々と逃げ出した。 しかし少年は追おうとはしなかった。そのかわり、両手剣を横に薙いだ。 少年の両手剣がライトエフェクトを纏いながら振り抜かれた。 衝剣初級スキル〈ソニックウェーブ〉剣先から衝撃刃が放たれ、逃げていく男達の体に吸い込まれるように通過した。 パリリリリリンッ! ボボボボボゥゥゥ! 一斉に死の福音、死の炎が上がり、辺りは静寂を取り戻した。 目の前には少年しか見えない《END:ENGAGE》(エンド・エンゲージ)の文字。そのあと入手G(ゴールド)、入手アイテムなどのリザルトウィンドウが出現した。 少年はそれウィンドウを、右手を宙で振り消すと腰のポーチから5㌢くらいの結晶石を取り出す。
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