少年にとっての光

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リュウトの言うあれ、とは新ユーザー達の事だ。今や総プレイヤー数が一万人のこのゲームだが、より多くの人に利用してもらうために限界収容量を一万から三万にアップデートされたのだ。 新ユーザー達初ログイン、それが今日の六時からなのだ。 リュウト「まぁ、俺には関係の無いことさ」リュウトは右手をひらひらと振った。 クロウ「が、そうでもないんだな…」クロウはニヤリッと笑った。 リュウト「なに?」 クロウ「初心者案内イベントさ」 リュウト「初心者案内イベント?」リュウトはクロウにオウム返しで聞き返した。クロウは「そうさ」と頷いた。 クロウ「上級者、中級者にクエストが発生するイベントだ。内容は[ストーンヘンジの案内、戦闘指導など、この世界の基本を教える…つうイベントクエストさ。初心者の人数はランダムで決まるらしい」 リュウト「だけどそんな事をすれば…」 クロウ「もちろん、一度PK(プレイヤー・キル プレイヤーがプレイヤーを襲う行為)をした奴や、プリズン、牢獄送りになった奴にはクエストは発生しねぇ」PK、プリズン。リュウトはどちらとも…」 クロウ「オレの記憶じゃ、お前はどっちもパスだよな…?」クロウがニヤニヤしながら指差ししてきた。 リュウト「ちょい俺PKしてくるわ…」そう言って店を出ようとしたリュウトを「待った待った!」と、止めるクロウ。 クロウ「なにさらっと恐ろしいことをしようとしてんだお前は…。安心しろよ、クエストの発生はランダムだとよ。あと、クエストの発生は一時間前って話だそうだ…。って、もうすぐ五時じゃねぇか…」カ…チ…カ…チ…。店に置かれた水晶時計が時を一秒…、二秒…、と刻んでゆく…。 カ…チ…三、カ…チ…二、カ…チ…一。 リィーン…、リィーン…と水晶時計が五時を知らせる、水晶同士が軽くぶつかる音が鳴り響いた。 リュウトとクロウが同時に右手を空で振り、ステータスウィンドウを開き、クエスト受諾ウィンドウに切り替えた。 少しするとクロウが口を開いた。 クロウ「リュウト…、お前どうだった?オレぁ無かった…が…」クロウの目が点になった。リュウトのクエスト受諾ウィンドウの一番上が点滅していたのだ。 クロウ「マジ…、かよ……」気付けば、リュウトが静止していた。 [初心者案内クエスト受諾・クエストクリア報酬「各ポーション百個・各結晶五十個」・クエスト同行者「ユウ」] リュウト「きち…まったよ…」
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