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<ネコネ>
静寂な丘には彼女の駆ける音だけが響いた。
だがそこはいつの間にか光で溢れていた。そして光の球の行く先には大きく、強い輝きを発する門が現れていた。
もはや辺りは光の洪水のようになっている。
なのに、彼女は弱い光しか発しない球を見失わず追いかけて門に入っていってしまった。
普通ならそんな門をくぐりはしないだろうに。
彼女は魅せられてしまったのだ。
異常な状況にも気づかず、彼女にはただ光の球だけが見えていた。
やがて丘は元の様子を取り戻した。
それは、弱々しい光や少女の足音さえ無い、完全な暗闇と静寂に戻ったということだった。
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