0人が本棚に入れています
本棚に追加
<草日>
ぐにゃりと世界の揺らぐ感覚。奇妙な浮遊感。
少女は光の中で目まぐるしく揺れる景色を、朦朧とする意識の中で眺めていた。
弱々しい光の球は、なおも目の前にある。
この光は私をどこかに連れて行こうとしている。
漠然とそう思った。
少し怖い。でも、それ以上にドキドキしている。
手を伸ばしても決して届かないのは、この先に光の導く何があるから。
光の束が一点に収束してゆく。
ああ、もうすぐだ。
視界の端から闇が交わりながら現れる。
ふわりと、少女の意識が途絶えた。
最初のコメントを投稿しよう!