狼と香味料

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はぁ……今日の仕事は疲れるぞ。何せ今目の前にある事務所に俺は行かなくてはならない。 闇金の会社らしいが詳しい事は知らないのだ。 依頼主に理由を聞こうとしたんだが教えてくれなかった。知らない名前を口にしたが、意味がないと思い受け流した。 金取るのも楽じゃねぇわな。 優金社と書かれた表札を横目にドアを開けると、三人の男が目に入った。 「融資の相談ですか。」 「まぁそんな所です。」 言葉使いはいい、ただ見た目の印象と野太い声のせいで台無しだ。 「では此方へ。」 事務所奥の応接室に案内されると向かい合わせに並ぶソファーに凭れて座った。 連れてきたこの男が応接担当なのだろう。男は向かい側のソファーに浅く座り、某アニメの指令のように指を組んだ。 「では融資の説明に移ります。御客様はいくら必要ですか。うちの会社は担保無しで一千万まではお貸し出来ますが?」 担保無しで一千万かよ……確かにおいしい話だが、後で回収屋に絞られるのが落ちだな。 「その代わり利息はいくら借りても十日で一万になります。」 「トイチねぇ……」 依頼主多分騙されたんだろうな。一千万円無担保でトイチこんなに都合のいい話はない。
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