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「私の背中に乗って下さい。足が冷えてしまいます」
「いいんどす!?」
女性は伊代の背中に乗るが、立派な着物のせいでやけに重い。
(今更おりてなんて言えない…)
歯を食いしばり持ち上げた。
「私は伊代と申します。あなたの…おっ…お名前伺っても良いですか?」
「秋葉どす。島原で太夫やってはります」
危うく秋葉を落としそうになった。
「逃げてきたんですか!?」
伊代が驚きながら聞くと、秋葉は笑った。
「許可貰って出てきたんどす。うちの女将はん、やけに優しいんどす」
京で一番栄えている花街『島原』
秋葉は祇園の芸者が良かったとくすくすと笑っていた。
「男相手してはるけど、うちの身体には触らせないんどす。でもそれが評判らしくて…仕事多いんて疲れはります。調度いいくらいがいいんどす」
伊代も同感だった。
毎日団子、団子、団子、たまに餡蜜。
(沖田総司め!!)
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