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「つきましたよ。お藤~団子出せる?」
「構わないけど…」
秋葉は座敷に座ると羽織を脱いで、火鉢で足を温めだした。
「かさ…持ってかなかったの?」
「末吉を送るときは小降りだったから…」
着物に雪がしみて少し寒い。
「秋葉さん、どうぞ」
「おおきに」
秋葉は美味しそうに食べはじめた。
秋葉を見ると、沖田総司の面影があり驚いた。
(勘違い、勘違い)
「美味しい。あ…伊代はんにお礼してはりませんでした」
伊代は気になさらずと断ったが、最終的に折れてしまった。
「明日の夜、島原来てくれはりませんか?」
耳が可笑しくなったんだろうか…しかし、秋葉の顔から事実だと伝わってくる。
「へ…?」
「大門まで出向きはりますから…」
伊代が返事をする前に、秋葉は頭を下げると行ってしまった。
(女一人で島原ぁ~!?島…原…)
気を失いそうになったが、夢で終わりそうにはなかった。
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