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「─い!」
「起きて下さいっ!」
ゆさゆさと体を揺らされて、伊代は夢から叩き出された。
「何ですか?………っ!!」
目の前には浅黄の羽織を着た青年が立っていた。
腰には刀を差していた。
その青年はおそらく、京では『壬生狼』と呼ばれている『新撰組』の隊士だろう。
(さっきの態度が悪かったのかな…)
「やはり。四条通を歩いていた方ですね?夜は危ないので、早く帰ったほうがいいですよ…」
「すっ、すみません」
悪い事も何もしていないのだが謝ってしまった。
頭を下げて、急いで壬生寺から出ようと走る。
「ひとつ、聞きたいんですが!!」
青年が声を張り上げた。
境内の中にその声は、重く響いた。
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