薄紅の雪

-夜桜-

「今、私と会ってどう思いましたか？」

透き通った眼で伊代を見つめた。

「えっと…起こしてくれた優しい方？」

よく解らず、首を傾げながら言った。

「…そうですか。さようなら」

「さようなら」

（不思議な人だな…）

京では嫌われている人達なのに、桜のせいなのかは貞かではないが、優しそうで不思議で悲しそうに思えた。