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そんな二人の会話を下衆な言葉が遮った。
「何でお前学校来んの?」
相沢は声の方に目をやった。席の後ろで、一人の男子生徒が数人に囲まれていた。
囲まれた彼は男達を無視して先に進もうとする。しかし誰かが足を引っ掛け彼は前方に転んだ。
「晃太なに転んでんの。高校生にもなってウケるんですけど」
一人の男がそう言うと、周りの男達は皆声を出して笑った。
相沢は傍観者として傍らから見ていた。またやってるよ、あいつら。しかしそれは相沢だけじゃなく、ほとんどの人がそうであった。
「全く。あいつらも飽きないのかね」
相沢は神崎の方に振り向き言った。彼女の表情に相沢は咄嗟に口を接ぐんだ。
彼女は淋しそうな目で彼を見ていた。イジメを嘆いてるのだろうか。相沢は焦り「だ…だけどあいつらイジメるとか最低だよね」と言った。
神崎は相沢の言葉にうんともすんとも応えず、イジメをただ見ている。相沢はどうする事も出来ずに、結局またイジメられている子の方に目をやった。
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