相沢優

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もしかしてと思い、他のポケットやカバンを探って見たがどこにも無い。慌てて一日の記憶を振り返って見ると、机の中に入れてる事を思い出した。 相沢は深い溜め息をつく。さっきまでのテンションはどこにいったのか、一気に気持ちが覚めた。 めんどくさいなと心の中で呟きながら来た道を返って行った。 教室の前まで行くと、教室に誰か人の気配がした。他の女子のグループかな。相沢は少し不安覚えながら教室に入った。 そこに居たのは想像とは全く違い、朝いじめられていた子だった。彼と少し目が合ったが、すぐに向こうが目を反らした。 何をしているんだろう。相沢は気になり、気付かれない様に覗いて見た。彼は机に書かれたペンの落書きを雑巾で消していた。 相沢は反射的に目を逸らす。何も見なかった様な素振りを見せ、自然な感じを演じながら自分の席に向かった。
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