籠の鳥

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静まり返った部屋の中で、私は彼と出逢った時のことを思い出した ―――-・・・‥‥… 帰宅途中、友達と別れた私のすぐ近く、黒光りする車が止まった そして、中から爽やかな笑顔の青年が出てきた 私は一目で恋に落ちた 貴方の言うことは何だってきけた 出逢ったその日に貴方の家に行くことだって… 貴方は嫉妬深くて、私が出掛けるのを嫌った 時には部屋に閉じ込められたりしたけれど、私にはそれさえも愛情だと思い、とても幸せだった 私はまるで、籠に捕われた鳥… それでも幸福に満ち溢れていた ―――-・・・‥‥… 私は静かに涙を流した… 私以外、誰も動くことのない部屋の中で…
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