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「佐々木さんとなっちゃんと冬馬くんと、他にもいっぱいいたんだから。しかも外人。超イケメンパラダイス。凄いでしょ」
「……」
「冬馬くんなんてもう何年も会ってないのにね」
…浅い眠りの中で目を開けてしまったんだろうか。
見てなくても皆の声が聞こえていたのかもしれない。
「ああ、イケメンパラダイス…」
「…起こしてごめんね」
「全くだよ」
私がわざとムッとした顔を作って口を尖らせると、美緒がへらりと笑う。
「…でも良いよ。夢の中の波瑠、泣いてたからさ。私も悲しかったんだ」
「……美緒」
ツンと喉の奥が痛くなる。
危険な状況に巻き込まれてしまったのに、美緒はいつだって優しい。
「…ありがと」
頭を撫でていると美緒の目がゆっくりと閉じられ、睫毛の影が出来る。
瞼がぴたりとくっ付いて、もう離れそうにない。
「…佐々木さん……」
「え?」
「佐々木さんとドライブしてたはずなんだけど…。…まさか今、助手席で寝ちゃってるの、私。うわ、最悪じゃん…」
「………」
「…起きたら…謝らなきゃ…」
「………」
すう、と美緒の口から息が漏れたかと思えばそれは綺麗な寝息に変わった。
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