蒼穹、高く

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  「ただいま」の意味を込めて直純さんの細い腰をぎゅうっと抱き締めると、直純さんもそれに応えるように笑いながら腕に力を入れてくれる。 直純さんの優しい匂いと体温はまるで揺りかごで揺られているかのように心地良く、重い言葉も簡単に口に出せた。 「…私の兄だという人に会いました」 「そうか」 「驚かないんですか?」 「美那子さんは破天荒だったと聞いているからな」 破天荒、という言い方は良いも悪いも含まれているんだろう。 「…そのお母さんが、どこかで生きているって言ったら?」 窺うように顔を見上げれば、何も言わずに優しげな瞳を向けられる。 直純さんは知っていたんだと確信した。 …お母さんの陰から逃げちゃいけない。 受け入れるって決めたんだから。 深呼吸をしてから全て悟っているような表情で私を見守る直純さんに真っ直ぐ顔を向けた。 「――教えてください。直純さんの知ってる範囲で、お母さんの事を」  
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