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私の常識を遥かに超えた厚さのパンケーキに鼈甲色のシロップがたっぷりとかけられる。
表面には粉砂糖とナッツ、横には生クリームと無花果が綺麗に添えられてあった。
食べながら話そう、と促されたは良いけれど、朝からコレは何とも胃に重そうだ。
でも一口食べればパンケーキは絹のように口の中でさらりと溶け、甘さが上品で見た目より全然軽い。
余裕で完食出来そうだ。
昨日の今日でこんなにがっついてしまう残念な私を、直純さんは温かい目で見ていた。
「小さい頃から美那子さんは子供らしからぬ美貌の持ち主として村中の話題になっていた」
「そ、そんなに?おばあちゃんも私も普通顔なのに」
生クリームをすくう手を止めて自分の顔に手を当てる。
そういえば航一さんはお母さん似だと言っていた。
だからあれほど美しいのか。
「波瑠は加江さん似だろうな。だが目元は美那子さんと良く似ている。…と思うが」
思う、というのは直純さんの記憶がおぼろげだからだろうか。
「男なら皆、一度は美那子さんに惚れた」
「えっ」
「ん?」
…まさか直純さんも?
「……」
それはなんか嫌だ…!
すっごく嫌だ…!
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