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いつもいる冬馬くんがいないだけで、リビングの居心地は随分変わる。
二人だけなのに定位置の真隣に座られるから、何だか顔を合わせ辛い。
「…あいつと二人だけの時、何の話をしてた?」
「え?えーと、…お母さんの事とか、子供の頃の話とか…」
あと何か凄いことも言われたけど。
話したこと全てが衝撃的過ぎてそれが何だったのか直ぐに思い出せない。
「…何もされてない?」
気遣うような声でそう言われ、昨日の事を思い返してみた。
「別に何も…あ」
「何だよ」
夏生が焦ったように口早に切り返してくる。
「大したことじゃないけど、変な形で腕を固められた。あれ、どうやったんだろう。プロっぽかったよ。腕を頭の上でこうやって…」
「知るかよ。他は?」
「それからちょこっとだけ触られて、」
「…………は?」
こちらを窺い見ていた視線が突然色を変えた。
「どういう事だよ。触られたって、どこを。どういう状況で。何もないんじゃなかったのかよ」
「む、胸だけど…ちょっ…、そんな変な風に捉えないでよ。だってお兄ちゃんだし」
「はぁ…!?」
目の前で夏生のこめかみに青筋が浮かび上がる瞬間を見た。
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