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場違いにすら思える夏生の柔らかな声には説得力があった。
だけど、ゆっくりと、を意識してもなかなか上手くいかない。
肺が空気を求めて激しい運動を繰り返す。
「…でき、ない…!」
「じゃあ何か喋ってろ」
「無、理……!」
救いを求めるように夏生の手を握ると、指を絡ませて握り返してくれた。
「…ちっさい手だな」
いや、昔より確実に大きくなってると思うけど。
「貧乳だと手も小さくなんのか」
何だとこのやろう。
真横にある顔をじろりと睨んでやった。
「……、!せ…い、」
「ん?」
「成、長期、なんだよっ!」
苦しい中、涙目で必死に反論するのに夏生は「どうだか」と小馬鹿にしたように笑う。
これにはカチンときた。
「…三年後、絶対、巨乳に、なるから」
「へぇ、言い切ったな。そりゃ楽しみだ」
「……」
ちょっと言い過ぎたかもしれない。
こんな状況だからしょうがないと思ってもらおう。
「お前がもし巨乳になってなかったら」
まだ突っ込むか。
どんだけ巨乳好きなんだ。
状況を把握して欲しい。
目で呆れと侮蔑を訴えようとした。
「可哀想だから嫁にもらってやるつもりだったけど」
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