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「へぇ。波瑠のお兄さんは大した洞察力だね。僕も一度、友人として話してみたかったな」
「…たぶん、話が合うと思うよ。なっちゃんとはそりが合わなさそうだったけど」
「どうかな。こんな風に出会ってなければ、案外合うかもしれないよ」
夏生と航一さんが仲良く笑い合う姿を無理矢理に想像したら、笑えてしまった。
「じゃあ、僕と波瑠のお兄さんに約束。真剣に夏生の心と向き合うこと」
「う、うん」
差し出された細長い小指に自分の指を絡める。
冬馬くんは嬉しそうにニコニコと笑っていた。
…夏生の気持ち。
確かにあの時の夏生の目を思い出せば、からかっているようには見えない。
でもそうすると疑問ばかりが膨れ上がる。
「…ねぇ冬馬くん。その、夏生はいつから…その…」
「はっきりとはわからないけど、多分小さい頃から好意は持っていたと思うよ」
「……それはどうかな」
それは無い、とはっきり言えなかったのは、冬馬くんをがっかりさせたくなかったからだ。
「…だってなっちゃん、むしろ私の事嫌ってなかった?」
「嫌う?夏生が波瑠を?」
「そ、それになっちゃんには彼女いたじゃん」
そうだ。
夏生には高校時代、彼女がいたのだ。
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