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「子供だろうが。しょうがねえだろ。お袋達は息子そっちのけでお前を構うし、今思えば俺だって寂しかったんだよ。そんな状況で冬馬どころか俺にもお前の世話を強要してくるし」
「それにしたって…!…ん?」
おばさんに構われなくて寂しい…?
夏生らしからぬ言葉に目を瞬く。
「それに、疎ましいと思って邪険にしてたのは最初の一年くらいだけだからな。一緒に過ごしてみれば楽しかったし…」
「ま、待って。え?何?いつの話?」
「は?だからガキん時の話だろ?お前が村に来た頃の」
「え?」
「ん?」
「………」
どうやら本当に子供の頃の話らしい。
…でも、大打撃。
二人を頼ってくっついて歩いていた時代に、夏生からそんな風に疎ましがられていたなんて…。
「…違うよ。なっちゃんが高等部に上がってからの話」
ダメージを受けて地味に痛む胸を押さえながら聞き直すと、夏生は一瞬だけ瞳を揺らした。
ああ、やっぱり。
そっちにも心当たりがあるらしい。
「…確かに避けてたけど、別にお前を嫌ってた訳じゃ…」
「嘘っ!だって、雨の日に私とバス停で鉢合わせた時、最悪って言い残して出てったじゃん!」
夏生の切れ長の目が大きく見開かれた。
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