残暑、去り難く

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  「こ、こっぱずかしいこと…?」 恐る恐る聞き返すと夏生は意地悪そうに口角を上げた。 「もう一回好きだって言ってやろうか」 「…!い、いい。十分です…」 「ははっ、すげぇ顔。猿の尻みたいだ」 「……何、その例え」 眉間に力を入れて睨み付けたつもりだったけど、夏生は笑いながら目を細めるだけだ。 夏生の言う通り、私の顔は真っ赤なんだろう。 夏生がいつも通り過ぎて悔しい。 これが経験の差というやつなんだろうか。 「…その…いつから?だってそんな素振り、見たことないし…」 「見せたつもりも無いからな。でも、冬馬ならまだしも昨日のあいつに見抜かれたのはムカつく」 「……」 「…完全に自覚したのは俺が中二の時かな。小五のお前が冬馬へ無謀な恋心を持ち始めた頃だよ。夏だったよな」 「はっ…!?」 口を挟まずに聞いていようと思ったのに、突然向けられた矛先に素っ頓狂な声が漏れた。 「無謀とか失礼なんだけど…!いや、それより、な、なんで時期まで知ってんの…!?」 気持ちがバレていたということは前に聞いていたけど、まさか時期まで。 私の知らないところで私の情報が広がっているような感覚に恐怖すら感じた。  
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