残暑、去り難く

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  「他にも色々知ってるけど。お前が優子に憧れて、やることなすこと真似しようとしてた事とか、あと他には…」 「ひいっ…!」 繋がれた手から情報が吸い取られているように思えて慌てて手を振り払う。 夏生は勝ち誇ったように顎を上げて鼻を鳴らした。 むかつく…! それが好きな女の子に対する態度か! 成敗…! 「…何でも教えてくれるって言ったよね」 「何だよ」 「中等部の頃から私の事が好きだったくせに、ちゃっかり他に彼女作ってたのはどういう経緯なのでしょうか」 「……」 余裕たっぷりだった夏生の笑顔がピシリと固まる。 それを好機とみる私は、夏生以上に性格が悪いらしい。 「彼女いたのに、ずっと好きだったなんて嘘でしょ」 「…嘘じゃない」 「じゃあ彼女への気持ちが嘘だったの?好きでもないのに付き合ってたの?」 「……」 沈黙は肯定。 冬馬くんが言った「真面目な付き合いではなかった」という言葉が心に生々しくのし掛かる。 「…どっちにせよ、最悪」 気付けば感情のままに酷いことを口にしていた。 その言葉は思いのほか夏生にダメージを与えたらしい。 夏生は真っ直ぐ私を見ていたけど、既に口元からは笑みが消えていた。  
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