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「まあ、なんつーかさ」
夏生の掌が頭の上に乗った。
腕から半分だけ見えた顔が、何だかとても大人びて見える。
「お前はいつも通りいてくれればそれで良いから」
「う、うん…」
「波瑠にこんな事言って悩ませたって知られたら、俺が直純さんにブッ殺される」
「…直純さんはそんな事しないよ」
「お前はあの人の怖さを知らないからな。…ま、あんま深く考えるなよ。アホみたいに笑ってて貰わないと俺が困るし」
「アホって何」
「お前の笑い方、アホっぽいから」
「はぁ…!?」
「そこも好きだけど」
「…………」
目を見開いた先に、目を細めて穏やかに笑う夏生の姿があった。
夏生の掌からその熱が伝わり、じわりとした甘い痺れが胸いっぱいに広がる。
この熱の正体に気付くのに、それからさほど時間は掛からなかった。
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