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寂しくなって、机越しに美緒に飛び付いた。
少し離れた席で本を読む一つ下のトモユキが驚いた顔でこっちを見ている。
「わぁっ!…波瑠?どうし…」
「…私、美緒に話したいこといっぱいあるよ…」
「……波瑠?」
「……」
沢山、沢山ある。
だけど。
軽く唇を噛むと、美緒の手が私の背中をポンポンと優しく叩いた。
「…私もあるんだ。話したいこと」
「……うん」
「…よし。数年振りに条約を結び直そう。新しいやつに」
「うん…」
目の前に差し出された小指に自分の小指を絡めて美緒と向き合った。
懐かしい。
「隠し事は無し」って決めた小等部以来だ。
「…じゃあ、秘密は持っても良いけど、言えるようになったら言うこと。打ち明けられる方はちゃんと待つこと」
「うん」
「…あと…す、好きな人が出来たら、そのうち相談すること」
「そのうち?なんかざっくりし過ぎてない?」
「いいの!」
僅かに頬を染める美緒を見て思い出す。
…そうか、航一さんが言ってた。
美緒、好きな人がいるんだっけ。
つい表情筋を緩ませてしまうと赤い顔をした美緒に睨まれた。
「わかった。打ち明けられる方はちゃんと待つ、だもんね?」
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