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「ど、どうしよう。何か言った方がいいの…!?」
「当たり前よ!」
ゴーン、と頭の中で鐘が鳴ったような衝撃音がした。
再びあんな雰囲気の中に身を投じなければなかないのか。
「波瑠はどうしたいの。その人と、これから進展しそうな気配ある?」
「進展!?」
私と夏生が!?と叫びそうになって慌てて口を押さえる。
美緒は真剣な顔でそんな私を覗き込んだ。
「言い方悪いけど、キープしておきたいなら気持ちを離れさせないように上手いこと言って保留、今後有り得ないなら期待させないようにスパッと切る。この二択だよ」
「二択……」
「そう、二択」
私を追い詰めるようにギラリと光る目に、崖っぷちに立たされたような気分になる。
冬馬くんもそんなつもりで「考えてみて」なんて言ったのかもしれない。
私と夏生が進展。
進展、とは。
…カレカノになるということで。
カレカノ、という言葉を勝手に思い浮かべて、脳の血管が破裂しそうになった。
「ふふふ」
地を這うような低い笑い声に顔を上げると、美緒が厭らしい顔で笑っている。
「な、なに」
「何って。そんな顔して、もう答え出ちゃってるんじゃないの?」
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