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「波瑠だって高校生なんだし、香水くらい興味持ったって良いだろう?それに、そのストラップには盗聴器なんて入ってないよ。波瑠の意志で持ち歩いているんだから、そう目くじら立てるんじゃないよ」
「え、えーと…」
冬馬くんにしては珍しく棘のある物言いに私が驚く。
夏生は冬馬くんを一瞥すると、面倒臭そうに視線を外してそのまま奥の部屋へ入っていった。
その後ろ姿を呆然と見送っていると、冬馬くんが可笑しそうに声を漏らす。
「大人気ない」
「え?」
「嫉妬があからさま過ぎて笑えるよね」
「嫉妬…」
そう言われて、もう一度夏生が出て行った扉に目をやった。
…あれは嫉妬なのか。
そう言われると、確かにそう受け取れる…ような気がしないでもない。
考え込んでいると、横顔に冬馬くんの視線を感じた。
「夏生とはその後どう?」
「…その後って言われても、まだ一晩しか経ってないけど……」
「波瑠の心境に変化はあった?」
「……」
冬馬くんはニコニコと笑っているけど、その笑顔はただの好奇心なんかじゃないことは見て取れる。
「…美緒にいろいろ伏せて相談したんだけどね、二択以外無いって言われたの」
「二択?」
「…す、進むか、切るかしかないって…」
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