ゆめ、うつついろ

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  …伝えたいかどうかと言われれば、別に伝えたくない。 だって、今までの関係が崩れてなくなりそうだし。 下を向く私の顔を覗き込んだ菊さんが小さく息を吐いた。 「まあ、いいんじゃない?伝えるって事はね、相手への想いが溢れて抑えられなくなった時だから。いつかそんな日が来るといいね」 「…そうなんですか?」 …溢れて、どうしようもなくなって言葉になるのか。 頭の中で復唱すると、ぞわりとした熱が鳩尾辺りに溜まってきた。 「…な、なっちゃんも…そうなったから言ったんだと思いますか?」 「当たり前でしょ」 「い゛っ……!」 強烈なデコピンを受ける。 細腕なのに、相変わらずなんて破壊力だ。 おでこを押さえて唸る私の頭を、紅葉さんが優しく撫でてくれる。 「私達からすれば、やっと言ったかって感じだけどね」 「え…」 「御世話様、凄くわかりやすいから。座敷童様だって知ってらっしゃるわよ」 「……」 …表情を隠す事が得意な夏生がわかりやすい? 眉間に皺を寄せていると、横から身体を割り込ませてきた柳さんが楽しそうに口を挟む。 「今日の座敷童様とのやり取りなんか、見ていて吹き出しそうだったけど」 「…どんな?」  
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