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「…それは、元々あの二人は仲が…」
「波瑠ちゃんが来てからかなり悪化したけどね」
「……」
警戒って…アレか。
「処女でなけりゃ、隙あらば食われる」っていう契約の…
「……しょ、処女なんだし、そんなこと心配してくれなくても…」
「まぁ座敷童様のお手つきにはならないでしょうけど、それとこれとは別の話よ。別の誰かが波瑠ちゃんに興味を示すのが嫌なんでしょ」
「………」
…独占欲。
菊さんの胸の中で自分の顔にみるみるうちに赤みが差していくのがわかる。
菊さんはそれを見るとニヤリと笑い、さらに私をぎゅうぎゅうと抱き締めて頬摺りをした。
「んもー、ほんと可愛いんだから」
「く、苦しいです」
「ねえ、波瑠ちゃん。あり得ない話はしたくないけど、もしも御世話様に別の良い人が現れたらどんな気持ち?」
「え」
菊さんの色気を孕んだ声に、ギクリと身体が強張る。
…それはちょっと…いや、かなり複雑だ。
今まで見て見ぬ振りをしていたけど、夏生は綺麗な女の人に囲まれているのだ。
「ま、まさか女郎さん達の中になっちゃんを好きな人がい……ったぁ!!」
「馬鹿じゃないの。やめてよあんなお子様」
デコピンが鼻に飛んできた。
おでこに食らうより強烈だ…!
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