ゆめ、うつついろ

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  痛む鼻を押さえながら夏生への意外にも辛辣な評価に驚いていると、紅葉さんが声を上げて笑う。 「そうね。御世話様もそこそこ見てくれは良いけどまだまだ子供よね。座敷童様が落ち着いてらっしゃるから、私達はどうしても比べてしまうのよ」 「……」 わらしのアレは落ち着いてるっていうのかな…。 首を傾げていると女郎さん達がにじり寄ってきた。 「そんなわけで、廓には恋敵がいないから安心しなさい」 「御世話様に出会いがないからって余裕ぶってんじゃないわよ。気持ちなんて簡単に冷めちゃう事もあるんだから」 「そうそう、こっちは見ててやきもきするのよ。さっさとくっついて堂々とイチャイチャしなさい」 「………イチャイチャ」 夏生とイチャイチャ、なんてとても想像つかないけど、あの逞しい腕を思い浮かべてしまうと耳まで熱くなってくる。 …だけど。 楽しげに目をぎらつかせる女郎さん達を見回すと、目を合わせた菊さんが眉を寄せた。 「なあに。まさか私達に遠慮してるんじゃないでしょうね。もしそうだったら張り倒すわよ」 「……でも、」 女郎さん達は自由もなく身体を張って仕事してくれている。 なのに、そんな中で私だけが色恋に浮かれてはいられない。  
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