ゆめ、うつついろ

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  百年以上同じ場所に閉じ籠もっていて、何かを懐かしく思わない筈がない。 それのどこが悪い事なんだろう。 それを私達が決め付けていいんだろうか。 昨晩私が感じた焦燥感はそれだ。 わらしは「初代との契約」と言っていたけど、もしかしたら私達はわらしを拘束しているのかもしれない。 『外』に触れさせる事無く欲しがる物だけをただ与えて、閉じ込めて。 力を解放させない為とは言え…それじゃまるで、廓はわらしの牢獄だ。 学校から戻ると制服のまま廓へ走る。 まだ早かったから夏生に電話して開けてもらった。 制服の私を見て一瞬だけ驚いたような顔をしたけど、すぐにいつもの仏頂面に戻った。 「早いな。わらしの話を聞いたのか」 「うん。冬馬くんは…?」 「普通に元気。昨日の事は特に何も心配ないって言ってるから、女郎達にもそう伝えといて」 「わかった…」 夏生の言った通り、笑顔の冬馬くんに同じ事を言われた。 あれほどわらしに同情していたのに、それを聞いて安堵の息を吐いてしまう私はつくづく身勝手で嫌になる。 何となくすっきりしない気持ちでいると、冬馬くんが私の制服を見て「懐かしいな」と言った。 「高等部のスカーフも似合うよ」  
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