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「ふ、ふざけたやり方って何!」
言い草に我慢できず立ち上がって睨み付けた。
「私が冬馬くんの言いなりになって嘘ついてるって言うの!?」
「他に何があるんだよ。俺が席外してる間に冬馬に頬染めてる奴の何を信じろっつーんだ」
「……!それは、」
夏生の話をしてたからじゃん。
…なんて言ったって、作戦を練っていたんだろうとか思われて逆効果になりそうだ。
「何でそうなるの…」
愕然としていると夏生が私と視線を絡ませながらゆっくりと立ち上がる。
同じ距離なのに、見下ろされる形になると威圧感を感じるのは何故だろう。
「そろそろ準備の時間だろ。行けよ」
「まだ話は…!」
「もういいから」
夏生は私の肩を軽く押すと、そのまま扉の前までぐいぐいと背を押し歩いた。
私も必死で押し返すけど夏生の力に適うはずもなく、ついには廊下に押し出されてしまう。
「よくない…!このまま帰れる訳ないでしょ!」
「計画は失敗。残念だったな」
「ちゃんと、話を…」
振り仰いだ夏生の顔があまりにも冷たくて、思わず身をすくませた。
「…お前は人の気持ちをこんな風に扱う奴じゃないと思ってた」
「……」
「裏切られた気分だ」
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