色は匂へど散りぬるを

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  いつものローソファー。 斜め前の冬馬くんの席に座る夏生をじっと見るけど、夏生は私と視線を交わそうともしない。 私はといえば、何故だか妙に落ち着いていた。 嫌いになったと言われてしまえばもう怖いものは何もない。 行き着くとこまで行っちゃったんだもの。 まだチャンスがあるというのなら、どんな言葉だって言える。 夏生は一息つくとゆっくり口を開いた。 「さっきは言い過ぎた」 「………ああ」 なるほど。 言い過ぎだと、冬馬くんに怒られた訳か。 私の反応が薄かったのが悪いのか、夏生の眉が僅かに歪む。 「…お前が毎日毎日好きとか言うから。あれ、マジでやめて。それを言いたかったんだよ」 「迷惑?」 「……そう、迷惑」 「ちゃんとこっち見て言って」 「……」 夏生はちらりとだけ私を見ると、すぐ目を逸らした。 それに怒りが込み上げる。 「目も合わせられないのは、私のことをもう好きじゃなくなったから?」 「…そんなわけないだろ。そんな軽い気持ちなら、最初から伝えてない」 「そんなの、私だって」 私だって真剣なのに。 …何故私が「好き」だと言うことは許されないんだろう。 「…私の気持ちを、有り得ないって言ったでしょ?どうして…?」  
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