1543人が本棚に入れています
本棚に追加
おばさんは唇を震わせながら夏生を睨み付ける。
大きな目には涙が溜まっていた。
こんな取り乱したおばさんは見たことがない。
自分の子供の意識が戻らないんだから、当然かもしれない。
「夏生!あなたは何をしていたの!あなたの仕事は何!」
「……」
「待って、おばさん!冬馬くんは私を守ろうとしてくれて…!だから私が悪いの!なっちゃんは、なにも」
私が必死で説明しても、おばさんは夏生を鋭く睨み付けたまま。
その目は怒りで煮えたぎっているのに、背筋がぞっとするほど冷たく見える。
夏生は表情を崩さずにそれを真っ直ぐ受け止めていた。
…なんで夏生にそんな目を向けるの。
まるで夏生を目の敵にでもしているような…
「あなたは何故世話役なんてやっているの」
「……」
「あなたがすべき事は何なの…!」
「……」
「本当は、あなたが、…!」
「おまえ、止さないか!落ち着きなさい!」
おじさんの大声におばさんの肩が大きく跳ねる。
それと同時に目からはポロポロと涙が溢れ、おじさんはなだめるようにおばさんの震える肩に手を回した。
「おばさん…」
か細い声に気付いた夏生が私を見る。
最初のコメントを投稿しよう!