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「きっと冬馬くんは駄目だって言うだろうから、私も一緒にお願いするよ。二対一なら折れてくれるかもしれないでしょ」
「……」
「おじさん達も味方に付けようよ。冬馬くんだけでも解放出来るんだから、協力してくれるかもしれない」
「…いいのか?」
「いいよ」
夏生の背中に手を回し、胸に頬を擦り寄せる。
固いけど、温かくて気持ち良い。
「そしたらずっと一緒にいられるね」
「…波瑠」
「私もなっちゃんがずっと傍にいてくれたら嬉しい」
『鳳来』の伝承に抗う術がないのなら、夏生がこれ以上辛い思いをしないように夏生の大切な人を守ってあげたい。
夏生を、傍で守ってあげたい。
「……」
夏生がゆっくりとした動作で私の頭に頬を寄せ、そっと息を吐き出した。
何も言わないけど、髪をくすぐる熱い息に夏生の気持ちが溢れているようで、私も嬉しくなる。
「ずっと一緒なんだから、結婚だって出来ちゃうかもね」
「…それは無理」
「なんでよ」
「直純さんに殺される」
夏生の真剣な声のトーンについ吹き出してしまう。
心地良さに目を瞑ると、ぴったりと合わさった身体から夏生の心音が穏やかに伝わってきた。
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