死屍累累

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  頬を寄せたまま、夏生は私の髪を一房取ると毛先に向かって指を滑らせる。 長さを確かめているようだ。 「…波瑠の絵を描いた時、描きながら、このまま波瑠が絵の中に閉じ込められれば良いのにって思った」 「…え?」 「誰も触れない額縁の中に閉じ込めて、誰の目にも付かない場所に置いておきたかった」 髪を梳く夏生の指が止まり、つむじに唇を押し当てられる。 …あの絵を描きながら、そんな風に想っていてくれてたんだ。 筆を動かす夏生の真剣な目を思い出し、頭のてっぺんから伝わる熱とは別の熱が私の身体の奥底にじわりと火を灯した。 「…ごめん。お前がここから出られなくなったのって、俺のせいかもしれない。…密かに望んでいたから、もしかしたら俺の願いが」 「違うよ。私は私の意思でわらしと取引したんだから。こうなった事、少しも後悔してないよ」 「……」 いつからこんなに周りばかり気にするようになったんだろう。 昔はもっと楽天的で我が儘で自信家で暴君で俺様だったのに。 「もっと自分の事を考えてよ。もっと昔みたいに傲慢に生きて良いんだよ」 「…傲慢ってお前。俺のことをそんな風に見てたのか」 「傲慢だったじゃん。下の子達を束ねてやりたい放題してたのに」  
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